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2018年08月29日

業務上過失致死と殺人容疑 そして未必の故意

岐阜市の「Y&M藤掛第一病院」で、入院患者が熱中症の疑いで相次いで死亡した事件が、ニュースを騒がせています。

岐阜市の病院で、入院患者が、熱中症の疑いで相次いで死亡した問題。
エアコンが故障したあと、それぞれの病室で使われていたのは、家庭用の扇風機1台だった。
患者の命を預かる病院のずさんな対応が明らかになってきた。
最高気温35.9度を観測した、岐阜市。猛暑日の太陽は、29日もその病室を熱く照らしていた。藤掛第一病院では、26日夜から28日夜にかけ、エアコンが壊れた病室に入院していた80代の男女5人が相次いで死亡。
熱中症の可能性があるとみられ、警察は、殺人容疑で病院を家宅捜索した。
(「FNN PRIME」より)


問題の病院ではエアコンが故障しており、そのため、死亡の原因は “熱中症” によるものと疑われています。


病院の廊下.jpg


ここで、まず第一に起こりうる疑問は

 「何故、病院内にいて、熱中症が防げなかったのか?」

ということだと思います。


病院と言えば、普通は、熱中症の症状を訴える人が運ばれてきて、それを治療する場所だからです。

その逆は、普通は考えられません。


そして、もうひとつ。


今回の報道で “恐らく多くの人が驚いた” ことが、

 「警察は、“殺人容疑で” 病院を家宅捜索した」

という部分ではないでしょうか?


何故、「殺人容疑」なのでしょう。

入院中に起きたことですから、「業務上過失致死」ではないのでしょうか?


『殺人(罪)』の定義は、「故意に人の生命を侵害する犯罪」です。


一方の『業務上過失致死(傷罪)』とは、「業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる」ことです。


つまり、殺人罪が適用されるには、そこには “人を死なせる” という “故意(意図)” がなくてはならないのです。

いったいどこに殺人の “故意” があったのでしょうか?


ここで、ひとつ思い当たることが、「未必の故意」という考え方です。


未必の故意というのは、「積極的に意図したものではないものの “そうなるかもしれない” と思いながら、その危険をおかして行為すること」といった意味です。

今回の件でいうと、「クーラーが壊れた状態で、病室を移動させなければ “死んでしまうかもしれない” と思いながら、そのまま放置した」ということです。


個人的には、そういった意味で「殺人容疑」として捜査をしているのだろうと思っていましたが、あるニュース番組では「捜査の範囲を広げるために、はじめから “殺人容疑” という形をとったのでは」というようにも解説していました。

業務上過失致死とした場合、「業務」の範囲でしか捜査が出来ないからです。


なるほど、その考え方も納得できます。


さらに「不作為の殺人」という考え方もあるそうです。

これは、文字通りでいうと「何もしなかったので死亡した」という意味です。


今回のケースで言うと、エアコンの効く病室に移動させるという、やるべきことを “やらなかった” 行為が、殺人に値するということです。


いずれにせよ、亡くなった方、そして遺族の方からしてみれば、病院側のとった(あるいは、しなかった)行動は、「殺人行為」以外の何ものでもないでしょう。


詳しいことは、これからの捜査で明らかになっていくと思いますが、今回の事件に、何らかの “故意” がないことを祈るばかりです。



posted by Descartes at 23:38 | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする